読んだもの・食べたものの防備録

<本>「月の裏側 日本文化への視覚」(著者:クロード・レヴィ=ストロース、訳:川田順造)

フランスの社会人類学者である氏の眼から日本文化を見ると、どのように見えるのか、ということに興味があり購入。

社会人類学自体は良く分かっていないので、少しとっつき辛い面はありましたが、中々示唆に富む指摘は非常に多い。

例えば、日本においては「神話と歴史相互のあいだに、親密なつながりがある」(18頁)という点は、確かになるほどと納得させられる。

先般、出雲大社を訪れた際も、「出雲大社」という現実にある歴史的建造物という「歴史」と、大国主大神にまつわる「神話」が非常に強いリンケージで同時に想起させられた。

一方、短い滞在しか経験が無いが、私が訪れたプラハやウィーン、ストックホルムヘルシンキオスロ、ベルゲンなどで諸々の名勝史跡を見る限り、そこにあるのは「自然」もしくは「歴史」そのものであり、それと「神話」が結びつくようなことは余り示されなかったように思われる。

 

これ以外にも、日本に住み、日本語を話し、日本の文化(いわゆる「伝統」的か否かを問わず)を享受する我々にとって、この日本文化のあり方やその特色について気付かされることが多々発見できる、非常に刺激的な一冊。

とっつき辛さは否定できないが、その苦労をするだけの価値はあるのではないか。

月の裏側 (日本文化への視角)

月の裏側 (日本文化への視角)